パイの物語


ヤン・マーテル「パイの物語」読了。2002年のブッカー賞受賞作。
ずっと読みたかったんですが、夏休みに読みたいなあと思ってとっといたのです。

夏休み、ないんですけどね。

カレンダー通りの勤務なので8月は休みなしです。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。
祝日がない分、他の月より過酷です。お盆?なにそれ食えんの?状態です。
気分だけでも夏休み味わいたいので、「夏休みぽい」本をチョイスしました。
む、むなしい・・・・。・゚・(つД`)・゚・。


インドからカナダへ出航した貨物船が沈没。太平洋に放り出された救命ボートには、
16歳のインド人の少年と、オラウータン、シマウマ、ハイエナ、
そして、ベンガルトラ。

わずかな非常食と水、それと4匹の獣たちを相手に、
少年のサバイバルが始まる・・・。



わたしが子供の頃、講談社の「少年少女世界文学館」という月一配本の
子供向け世界文学全集がありまして、毎月とても楽しみにしてたんですが
「ロビンソン漂流記」と「十五少年漂流記」を読んだ時の衝撃がすごくてですね。
それ以来、漂流とかサバイバルとかに異様なワクワクを感じる子供になりました。
「赤毛のアン」と「飛ぶ教室」も大好きだったんですけどね。


で、4匹と1人のサバイバルなわけです。
生き残るために、少年が選んだ選択というのが大変おもしろい。
このあたりの心理戦というか「生きるための選択」の描写が秀逸でした。

このお話、3章立てになっていて、最初の1章が全体の1/3ほどで
ここで少年・パイの生い立ちが語られるんですが、これがかなり退屈。
というのも、彼はインド人であるにも関わらず、特殊な宗教観を持った少年で
キリスト・ヒンズー・イスラムを平等に実践しようとするんですな。
正直、わたしのような無神論者にはこのあたりの描写はおもしろくもなんともなかった。
早く漂流の話が読みたいのに!という感じでやきもきしました。

2章が漂流の話なんですが、これはさすがにぐいぐい読ませる。
そしてラストの3章でのどんでん返し(?)があるんです・・・が、
ちょっと調べると、これの元ネタになったお話というのは
英国では非常に有名な話らしいので、その知識があるかないかで
ラストの印象がかなり変わるような気がしますね。
「リチャード・パーカー」を知っているか否か、かなー。

このあたりが翻訳小説における問題というか、
文化圏の違う文学を読む時の一種の枷でしょうか。
まあ私に大した教養がないせいってこともあるんでしょうが・・・。

わたしとしては純粋に、物語として楽しめたので満足でした(゚▽゚*)

ワーカーズ・ダイジェスト


32歳は、欲望も希望も薄れていく年だった。けれど、きっと悪いことばかりじゃない。重信:東京の建設会社に勤める。奈加子:大阪のデザイン事務所に勤 め、副業でライターの仕事をこなす。偶然出会った2人は、年齢も、苗字も、誕生日まで同じ。肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年 間、ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく―。頑張るあなたに贈る、遠距離“共感”物語。


津村記久子「ワーカーズ・ダイジェスト」読了。
津村さんは「ポトスライムの舟」「きみは永遠にそいつらより若い」を読んで
同年代ということもあってか、すごくしっくり来ましたね。


柚木さんなんかに比べると、大変淡々としています。ストーリーの起伏も感情描写も。
ただその分、ものっすごいリアル。

例えば「ワーカーズ・ダイジェスト」の冒頭。
主人公(のうちの一人)・奈加子が朝起きてから出勤するまでの描写。


奈加子は、憎しみのこもった乱暴な動作でカーテンを引いて、太陽の光を部屋から追い出し、昨日取り込んでそのままになっている洗濯物の山から、下着や靴下を探してベッドの上に放り投げる。靴下は、秋口以降は全部黒くて同じ長さのものを履いているので、生地の微妙な違いをマッチングさせるのに苦心する。どうして干す時の自分はちゃんとまとめないんだろうと毎朝思う。簡単なことなのに。(p8)


歯を磨いてリビングに戻る。結局、ちゃんと合わせたと思った靴下は違っていた。片方のアーガイル模様の透かしが、もう片方よりやや大きかった。けれどもう正しく一致させる気力もなく、奈加子はそのまま靴下を履いた。(p10)



リアルすぎて唸ったわ、これなんて私?
靴下(タイツ)干す時に揃えないよねー、そんで朝探しまくるよねー!(´∀`∩
こういった淡々とした日常描写の中に、仕事に対する倦怠やら将来への不安や苛立ち、
そういったものがものすごく生々しく浮き上がってきます。

かといって、読み終わっても「ほらほら働くってこういうことじゃない!?」
みたいな押しつけがましさはどこにもなくて
「あ、わたしこれでいいのかもしんない」と思える、そういう書き手さんです。


今まで読んだ中では「カソウスキの行方」がいちばん好きかな。
エッセイはまだ読んだことないんだけど、タイトルからしていいよね、
「やりたいことは二度寝だけ」ww


カソウスキの行方 (講談社文庫)カソウスキの行方 (講談社文庫)
(2012/01/17)
津村 記久子

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あまからカルテット


 「終点のあの子」作者の誰もが待ち焦がれた新作は、仲良し四人組の探偵小説。ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子。恋愛の荒波も、仕事の浮き沈みも、四人の絆で乗り越えてみせる。  

ついさっき読了。
柚木麻子さんの「あまからカルテット」
文春文庫の「終点のあの子」が良かったので、他のも読みたくて
図書館で借りてきた。夕飯後に手に取ったら止まらなくて一気読み。
いやー、今年に入ってから読んだ小説の中で一番おもしろかったな!


中学生からの親友というアラサー女子4人のオムニバス。
恋のはじまりや、ストーリーの要所要所で食べ物がキーになってるんだけど
これがどれもめちゃくちゃおいしそうなんだ・・・・!
稲荷寿司、ラー油、甘食、ハイボール・・・・

アラサー女子の友情もの、というとドロドロした感情描写が入りがちな印象だけど
これは4人の感情がリアルでありつつも思いやり深く描かれていて、
読了後がほんとさわやかでしあわせ。
色んな女性作家さん読んで思うけど、こういうのってご本人の気性によるところが
大きいよなあ・・・・。(ボソリ)
最近は特に、寝る前に色々考えちゃうような重いものはどうも読む気がしなくて、
読了後に「はーよかった!」て思うようなのを好む傾向にあるので
これは今の自分に合っててすごくよかった!

「終点のあの子」のほうが、思春期をテーマにしているせいか
シビアかつやや毒がある感じです。それもまたいいんだけど。
あとyomyom連載の「本屋さんのダイアナ」も目が離せないかんじで
オススメなのであります!

とりあえず今出てる柚木さんの全部買うよー。
こういう作家さん久しぶりで嬉しいな。
あと週末に稲荷寿司挑戦する(o´∀`o)ノ


終点のあの子 (文春文庫)終点のあの子 (文春文庫)
(2012/04/10)
柚木 麻子

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yom yom (ヨムヨム) 2012年 09月号 [雑誌]yom yom (ヨムヨム) 2012年 09月号 [雑誌]
(2012/08/01)
不明

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